春夏コラム


新潟市 こがね鮨
阿部 二三夫さん
魚のこと、シャリのこと、鮨に関する知識と経験は新潟県屈指の「こがね鮨」のご主人。現在71歳。4年間の米屋の修行後、昭和32年に鮨職人の道へ進む。昭和44年に独立し、昭和52年に現在の場所に「こがね鮨」を開店。現在、新潟県すし商生活衛生同業組合理事長を務める。
モチグサコウグリと聞いて、「どんな魚だっけ?」と悩む人も多いと思うが、一般的にはウマヅラハギと呼ばれている魚。カワハギの仲間である。ぎょろりとした目におちょぼ口。ざらざらとした皮に覆われて、決して器量よしとは言えないが、白身の魚で、食べるとことのほかおいしい。身離れがいいので鍋物によく使われる魚でもある。「あっさりと薄味で煮て、冷まして煮こごりにするのもいいね。女性が喜ぶコラーゲンの塊だよ」と阿部さん。身はクセがなくて甘みがあり、刺身にすると歯ごたえのある食感が楽しめるため、フグとよく似ている。
「毒を心配しないで食べられる分、私はこっちの方が好きだね。それにモチグサコウグリといったら何をおいても肝。肝がないモチグサコウグリは二束三文というぐらい、ここがうまい」と阿部さん。肝の方は蒸してポン酢で食べたり、醤油味で煮たり。これがアンコウの肝よりまったりとして舌になじむほどおいしい。そして一番のおすすめは肝醤油でいただく刺身。肝を加えることで醤油にコクが増し、淡白な味わいの刺身にアクセントを添える。ただし、生で肝を食べるため鮮度がいいことが必須条件。肝は竹串で血管をていねいに取らないと生臭くなるから、少々手間も必要だ。竹串で?と思うかもしれないが、鮮度がいいと竹串を使っても血管が破れないそうだ。
新潟でモチグサコウグリと呼ばれる由来がまた面白い。4月末からが旬となるが、最盛期は6月上旬。新潟では昔から6月5日が端午の節句でヨモギ餅を作る。そのヨモギ=モチグサと、コウグリを合わせてモチグサコウグリと呼ばれるそうだ。今ではそのおいしさが注目を集めているが、昔は釣れても捨てられていた魚という。「余計とれてどうにもならなかったんだね。昔は肝も捨てていた。これが食べたらおいしかったもんだから、今ではすっかり人気者。値段も上がったよ」。6月末になると腹に子が入り、これがまた珍味。磯釣りをするとよくかかる魚でもあるから、自分で釣って食べてみるのもいい。

「モチグサコウグリ」が食べられるお店
- 河竹鮨
- 宝すし
- 鮨・割烹 丸伊
- 新潟の旬菜と地酒の店 銀鈴
- 寿司の福神
- こがね鮨 本店
- 日本料理 行形亭(いきなりや)
- 越後荒海料理の店 志乃田
- 一酔
- 割烹 大善

鮮度の高い商品のため、予めご利用されるお店に事前の予約をお願いします。


